25.CubeSAT   SWR測定用同軸ケーブルが測定に影響を与えるシミュレーションと実施確認  2019/3/11

 

CubeSATには1/2λダイポールが使われていましたが,最近のCubeSATには1/4λモノポールが多く使われるようになりました。

435MHz及び145MHzのモノポールは長さを調整して、共振状態にしてインピーダンスを50Ωにする必要が有ります。

この2つの要件を100%満たすことは難しいので次の範囲にします。

1.共振状態 リアクタンス成分 jX=+0~-5Ωの範囲にする。

2.抵抗成分 R=40~60Ωの範囲にする。

この1.2.を満たせば,おおむねSWR<1.5~2.0になります。SWR悪化による出力損失はSWR1.5で4%、SWR2.0で10%程度になります。

 

1/4λモノポールは,1/2λダイポールの片側を大地(地球)に見立てています。

CubeSATに1/4λモノポールを設置したときの片側の電極は、宇宙空間では大地(地球)の片側の電極は存在しないので衛星本体が代替えすることになります。 

衛星が周波数の1/2λ以上(500mm以上)の大きさであれば,おおむね片側の電極として働きますが,これより小さい場合は十分に片側の電極として働かないことになります。

CubeSATはその大きさが100☓100☓100mmなので最遠でも140/2+100+140/2=240mm程度になります。

435MHzでは1/2λは340mm程度なので,かなり片側の電極として機能します。さらに145MHzのモノポールも衛星本体の一部となってグランドとして機能します。  

145MHzでは1/4λは500mmとなり,240mmでは1/8λ程度でかなり不足することになります。435MHzの1/4λモノポールもグランドの一部となりますが,非常に短いので大きな機能にはなりません。

このような状態で調整すると,SWR測定用に接続した同軸ケーブルが格好のグランドとして働いてしまいます。

SWR測定用同軸ケーブルには測定の電波が乗ってしうので先端がオーブンまたは接地で定在波が生じているのではないか!。

従って,その長さによっては影響が軽減されるポイントが出るのではないかと云う仮設でシミュレーションしてみました。

 

MMANAシミュレーション(145.9MHz)

1.CubeSAT本体だけにモノポールを付けて共振させた長さを出す。その時の値:MP=0.652m,R43.1Ω,jX=-0.08Ω,SWR=1.16となった。

2.そこにSWR測定用同軸ケーブルを模してφ0.222の導線を付けてその長さ(L1)を可変してR,jX,SWRをシミュレーションした。L1先端解放。

3.その結果は,一番影響の無い長さは、L1=1.25、2.25、3.30、4.30mとなり,1/2λ(1.028m)のほぼ整数倍となった。

4.一番影響のある長さは1.6、2.65、3.65mとなり1/4λのほぼ奇数倍になりSWR3以上となった。

この状況では、たとえば L1を1.5mにしてMPの長さを調整したら、MP L=0.598(m)でR:45.1, jX:0.08, SWR:1.11と共振した状態となった。

次に MP L=0.598(m)をそのままにして,L1(1.5m)を外してシミュレーションしたら,SWR3.22となった。

従って,実際の状態が大きく違ったものとなってしまう。はず?である。

別途,実際の状況を確認したいと思っています。(CubeSATに超小型SWR計とハンディ機を内蔵して空間に浮かして測定する等)       

 

★調 整と実 測

上左:CubeSATモギ筐体           上中:デジタルSWR計 SW-102                         上右:

(□10☓100アルミ棒)               入力が無くなっても指示値                144/430MHz FT1XDとデジタルSWR計                                                      をそのまま表示する。                  FT1XDの出力は1W以上必要。   

 

左写真のように4方を3tアルミ板が囲った状態でSWR測定をしましたが,6方アルミ棒+2方アルミ板と変わりませんでした。

測定サイト例

半径約2mの空間にアンテナを約700mmにしてSWR1.1以下になるようにエレメントをみ短くした。145.900MHz SWR 1.09で620mmとなった。

右上の写真の左下のプラグを入れると送信状態となりプラグを抜くと送信停止しSWR, 周波数, 出力等の表示が残る。ただし筐体に触れないこと。

プラグに釣り糸を付けて引く、またはこの写真のように送信中に写真撮影する。

             145.995MHz:SWR 1.02                                          145.005MHz:SWR 1.00                                      144.005MHz:SWR 1.00  

                                                                                    この時のエレメント長:615mm  もう少し短くても良い! 

★MMANAシミュレーションの確認

エレメント長が615mmとなったところで同軸ケーブルとAA-1400アナライザーで測定同軸ケーブルの長さを変えてSWRを測定した。

SWR測定用同軸ケーブルは、L1=3.052mとL2=2.533mを使用した。

MMANAシミュレーションでは、L1=3.052mは同軸ケーブルの影響が少ない長さ。(同軸ケーブルはRG-174)

L2=2.533mは同軸ケーブルの影響が大きく出る長さ。

下の図は測定用同軸ケーブルL1=3.052mでAA-1400で測定した結果である。

       図1             図2                              図3                                      図4                                     図5

図1はAA-1400を手で持って測定したもの。図2はAA-1400を木に引っかけて(以下の測定はこの状態測定したもので測定用同軸ケーブルの影響で2カ所でディップしている。図3は周波数を拡大したもので,SWRは147MHz当たりで最低になっている。図4はRとXを表す。図5は145.900MHzの値。

SWR計では144.0~145.0MHzあたりでSWRが最低になっているが、AA-1400では147MHzあたりで最低になっている。測定用同軸ケーブルの影響が少し出ている模様。

下の図は測定用同軸ケーブルL2=2.533mでAA-1400で測定した結果である。

                           図1                         図2                                       図3                                               図4

図1は測定用同軸ケーブルの影響で2カ所ディップしているが,145.900MHz付近でSWRは3程度になっている。図2は周波数を拡大したもので,SWRは3.0になっている。図3はRとXを表す。図4は145.900MHz付近の値。

測定用同軸ケーブルの影響を大きく受けていて,この状態でエレメント調整すると2っのディップのどちらに合わせても長すぎと短すぎが生じてしまい、測定用同軸ケーブルを取り去るとSWRは大きく外れることになる。

なお,実際には145MHzと435MHzの両方のアンテナを取り付けて調整することになるので,相互に影響を与えると思われる。

また,145MHzと435MHzの両方のアンテナの筐体との結合度(無線機までの同軸ケーブルの長さ,無線機の出力インピーダンス等)の程度によっても変わると思われる。

シミュレーションでは測定用同軸ケーブルは短縮率をゼロとしたが,0.9~0.95程度の短縮率が有るかも知れない。

FT1XD(orTH-F7)とSW-102でSWRを調整する方がアナライザーを買うよりも安く出来るのでオススメかも!(共にa~zで買える!)

出来るだけ小型のアンテナアナライザーをCubeSATの筐体に入れてSWRを測定しても大きな違いはない。 2019/4/6

これが出来れば十分か!

測定は屋外で! 

これが小さくて使えそうです。 N1201SA、SWRアンテナアナライザー140MHz - 2.7GHz  

 

                                                 おわり