20. 衛星搭載アンテナと地上局アンテナの関係について!                 2018/4/25

                                                                  まだ工事中です

ここでは,最近あまり話題にしてこなかったことを,あえて話題提供する。皆さんのご意見を頂ければ幸いです。

 

1. 衛星搭載の直線偏波アンテナと伏角

初期のアマチュア衛星(1974年AO-7等)が上げられたころからFO-29(1996年)のころまでは円偏波アンテナが搭載された衛星が有った。
しかしその後にキューブサットが上げられるようになってからは直線偏波のダイポールやモノポールが多用されている。
この様な直線偏波アンテナに対してアンテナはどのようなものが必要か考えてみた。
 

 地球の地磁気は左図のようになっている。茶線は1,000km上空の線で
これを見ると地磁気は北極及び南極に集中しているのではなくて、その周辺に大きく分布しているようである。磁石を搭載した衛星はこの地磁気の方向に向いて動いていると考えられる。
従って磁石が地表に平行になるのは赤道付近を通過する時だけであって、そこから北又は南に行くと磁石は地表の方向に向いて行くことがわかる。この角度のことを伏角(ふっかく)と云っていて、緯度によってその伏角が観測されている。ここに観測値が出ている。

                    ↑↑JAMSATホームページより  伏角について詳細はここに出ている               

  

 一般に北上する衛星のAOS付近で,衛星の頭が正面に見えれば,天頂で衛星の横が見え,LOS付近までは衛星のお尻が見えると云われている。

衛星には磁石が搭載されていてZ軸を中心にスピンしていると考える。

東京では伏角が49度ある。点線の約400km上空に衛星があった場合は天頂で49°下向き,LOS付近ではほぼ横向きになる。南下する場合もAOSとLOSが逆になるだけである。

アンテナの搭載位置にもよるが,もし衛星に円偏波アンテナが搭載されていた場合は北半球では,反転することはほとんど無いと考えられる。LOS付近では楕円偏波からほぼ直線偏波と思われる

ダイポールなどでは北上のLOS又は南下のAOS付近では,衛星のスピンによって,アンテナの先端が日本の地上局に向いて,電波が来ない状態が生じることも考えられる。

この場合は,地上局が円偏波アンテナを使っても解決しないと考えている。これを防ぐには,衛星の傾きを考える必要があるのではないか。(北方面は,あきらめるのも有り)

ただし,これは図上で考えた結果で有り,実際には様々な衛星を受信していて,北極方向で信号が弱くなったと感じたことは皆無である。

これは衛星本体からの反射がありアンテナパターンも変わっていると考えている。ただしキューブサットの場合はV/UHFの波長に対して小さくその影響は少ないと思われる。ダイポールのシミュレーションではエレメント直角方向の縦長の両サイドにクボミが出来る感じである。このクボミは周囲に対して10dB程度である。(通常のダイポールだけのクボミは40dB以上) これは球状の面積から見ればかなり少ないチャンスになり,時間的に受信する割合が少ないことも一因になっていると考えられる。

衛星のお尻を見るには南半球に行かなければならないのではないか?!。北半球で使う方位磁石は南半球では使えないらしい!。地図も南を上にしてるらしい!。某社の方位ローテータは南が上になっていて(南半球の人の設計か?) 逆さにして使った記憶がある!。

 

赤線のように対角線に磁石を設置すると伏角対策になるのではないか。要検討。

 

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2. 大地反射の影響

地上局のアンテナは大地反射の影響を考える必要がある。(下記ではダウンリンクで検討したがアップリンクも同じはず,コマンドが通らない?)

実感として今までの多くの衛星は145MHzアップリンク,435MHzダウンリンクが多くQSBを感じることは無かった。しかし最近のFox-1は435

MHzアップリンク,145MHzダウンリンクになって,FMと云うこともあってEL0~30°ぐらいまで大きなQSBを体験している。(円偏波アンテナでも!) 

左図は145.9MHz 6エレメントクロス八木アンテナ(円偏波)を地上高5m,仰角0°(水平)に設置した時のシミュレーションパターンである。

自由空間のゲインが10.61dBiなので大地反射によって5.92

dB 増加したことになる。

 

←アンテナ仰角0°

仰角0°付近では-15dB

最大ゲイン5.6°過ぎまでアンテナ仰角は動かさない方がよい!

 

←左側,アンテナ仰角10°

仰角0°と変わらない。

仰角10°では-10dB目盛に。

衛星が仰角10°付近は信号は弱くなる。

 

←右側,アンテナ仰角20°

仰角30°ぐらいまでは仰角0°と変わらない。

仰角20°では-10dB付近で激しく動く。

衛星が仰角23°付近では信号は弱くなる。

仰角0~30°では向けてもピークにならない場合が多い 

 

←左側,アンテナ仰角30°

仰角30°以上では10dBゲインが有るのでQSOは問題ない 

 

←右側,アンテナ仰角40°

やや弱くなる

★アンテナ仰角を0~30°付近までは仰角5.4°付近が最大である。

10°付近の大きな落ち込みは0~40°まで続くことになる

145.9MHz 地上高5mでは仰角12°,23°付近ではアンテナ仰角に関係なくゲインが大きく減少しQSBの原因になっている。

このパターンは周波数と地上高に依存して変化する

★145MHzの設置場所における垂直面パターンを取ってコマンドアップの参考にすると良い。(今後は435MHzアップになるが!)

左側は145.9MHz6エレメントクロス八木,地上高15m、

右側は436.5MHz6エレメントクロス八木,地上高5mのパターンで完全に同じパターンになっている。

一方で435MHz帯の受信(SO-50)では上記のような仰角30°以下でのQSBは経験していない。従って145.9MHzのアンテナの地上高は 5~7波長以上にすれば解決する。エレメント数によっても変わってくる。 

    衛星通信の地上局のアンテナは地上高は低くてもよ良い!と云うのは周波数を考慮して考え直す必要があるのではないか。

⇐現在使用中のアンテナ   地上高3m

435MHz 14エレメント・エレメント位相式クロス八木

145MHz 6エレメント・エレメント位相式クロス八木 

⇐クリック拡大

 

↓↓ 435MHz 14ele エレメント位相式クロス八木 地上高3mH 仰角0~50°の垂直面パターン(シミュレーション)↓ 

下図のパターン図の下の数字(0~50)はアンテナの仰角を表す。地上高はすべて3mHである。これを見ると仰角10~15°までは大地反射の影響を受けている。しかしFO-29のビーコン(435.795MHz)を聞いているがあまり感じたことはない。

 

3. CW/SSBとFMのAGCについて

前記のアンテナパターンによる信号の変化とAGCについては,早い,遅い,が2~3段階選択できるようになっていてかなり吸収している。

FMの場合はAGCが付いているようであるがCW/SSBより,早くしている模様で飽和しすぎるような強すぎる信号対策の感じである。従って信号の大小が極端に変動している。

 

4. アンテナ周辺のロケーションについて

当局の周辺は2階建ての家が点在している状況で電波環境は良い方だと思っている。360°大きな障害物は見当たらない。アンテナのすく近くに有る2階建ての自宅が最大の障害物である。衛星通信に関しては感じとして南方面より北方面からの信号が強く安定して聞こえる。さらに西側より東側が強く安定して聞こえる。これは145MHz,435MHz共通である。

北側と西側は100mぐらい畑と公園で平ら,東側と南側は30~40mから先は2階屋が点在している。大地反射はどの辺の大地がどの様に影響しているか不明である。

例えばモービルで渡良瀬遊水地に移動した時は見晴らしが良く360°約10kmぐらいかその先も見通せる感じでHF~UHFまで移動局が多い場所である。このような環境では大地反射も多く満遍なく均等に来ている感じがする。

衛星通信はアンテナは低く周囲も開けていなくても良いのが特徴とされているが、小さなアンテナで衛星通信する場合は、アンテナは高く周囲は開けている条件があるとより良くなる。 

 

以下は別途 電波をロガーで測定記録しているので全面的に改訂の予定! 2018/6/20

5. FO-29の姿勢とアンテナについて!    たぶん下図のようになるのかなと思います。FO-29のビーコンが円偏波かどうかは不明。 

上図↑ この模式図の地上局のアンテナでは, (縦にスピンしていると聞いたこともある!)

    衛星の南側低仰角付近のアンテナはほぼ正面に見えて円偏波を受信できる。回転方向が一致していれば強く受信できる。

    衛星が天頂(MEL)付近ではかなり楕円偏波となるが距離が近くなるので電波は強くなる。

    北側低仰角付近では衛星は下向きになり放射パターンは横になり楕円偏波の回転方向はAOSの時の反対になるが,ほぼ垂直偏波となって南

             側低仰角よりかなり弱くなる。と推測できる

    当局が使っているアンテナは435MHz 14エレメント・エレメント位相式クロス八木で右旋円偏波である。  

 

     ↓↓しかし,実際には下のグラフのように違った結果が出ている。?  いずれもAOSからMELが強くなって,MELからLOSは弱い。????↓↓

  FO-29ビーコン受信:左縦目盛りSメーターのS値(目視)、下横目盛り仰角(°)、横軸の左側が南,右側が北、⇒ ⇐は衛星の移動方向、AGC 0.3sec     

                                                                       ↑A      ↑B

                                                           矢A(80°)とB(30°)間は右下図Dの空間ロスによるSの減少曲線にほぼ一致する

 ↑Aは高度1100kmとしたときの仰角(°,横軸)と距離(km,縦軸)の関係グラフ      ↑Cは天頂の空間ロスを0とした時のロス,天頂と地平の差11dB

                     ↑BはAの距離に対する空間ロス(dB)                                               ↑Dは天頂をS9としたときの空                                    ( Sメーター1 当たり3dB(V/UHF)としている )                                            間ロスによるSメーターの計算値

コメント:天頂S9だったら仰角5°でS5.4になってその0°でS0になるはず。実際には大地反射で仰角10~30°はSが高くなり仰角10°以下は地上の障害物でSは減少している模様。AOSからMELまでが強く,MELからLOSまでが弱い理由は不明! 

仰角ローテータを-5°シフトして受信してみました。一部に凹凸があるもののAOS⇒MEL⇒LOSがほぼ同じレベルになった。少し時間ずれをしていた感じである。

北方向のAOS,LOS付近では仰角ほぼ0°から(まで)ビーコンが受信でる。南方向は仰角1~2°にならないと(まで)ビーコンが受信できない。(上記のようにロケーション,ローテータ設定の影響もある)

それと435MHzでも仰角方向は大地反射の関係かビーム方向がアンテナのビーム方向より上向きになっているかもしれない。ただし逆にAOS⇒MELとMEL⇒LOSが同じになることも良いのかなと疑問もある。数字が大きくなる時と小さくなる時では読みが違って来ることも有る。仰角を5°ビッチでSメーター値を記録したが5°以内の変動もある。アンテナもリレーでカチャカチャやっているので,先端はかなり上下左右に振動している。自動受信にしないと正確なデータは得られないかも。

左図はAO-51(435MHz帯)の連続電波を使って測定した地上局アンテナの垂直面パターンである。

上図は4エレメントHB9CV水平2スタックのシミュレーションパターン図。

下図はそのアンテナをAOSに向けて固定して受信してものである。

信号はSメーターのアナログ電圧をデータロガで取り込みエクセルで処理して加工した写真である。

絵としてはシミュレーションと実測がほぼ一致した。

従ってシミュレーションと実測は大まかには一致していると考えている。

          

アンテナや衛星通信にはいろいろな説が有り疑問に思うことも多々ある。Webにもいろいろある。

一方で当局の思い違いや,勘違い,左右違い,間違った知識,知らない事も多々ある。

右だ!左だ!上だ!下だ!と云っていると,いつの間に逆立ちしていたかも!      皆さんのご意見を頂ければ幸いです。