「アルカミアンテナの開発」 (2017/3/11 JAMSATシンポジウム 講演資料)     2017/3/17 

 アルカミアンテナ2の作り方はこちら


最初にアルカミアンテナと云う変わった名前についてお話します。
アンテナを作るというと、どうしてもアルミパイプ、ドリルで穴を開ける、ねじを締める、同軸ケーブルを半田付けする、等々の言葉が浮かぶと思いますが、これらの事が全く無いという意味で、アルミホイルとボール紙のアンテナ、すなわちアルと紙を取ってアルカミとしました。
丁度昨年の11月12月ごろに作っていたのですが、関西方面と云うか広島でカミ・何とか・・と云う言葉がはやっていたようなので便乗しました。
ただ、カミ何とかと云う言葉は元巨人ファンとしては言いたくない言葉なんですが。hi

 

簡単に自己紹介をさせて頂きます。
「画面文字読み上げ説明」
右上の写真は開局当時のものです。MT管の6BQ5ファイナルでA3、インプット5~6W、3mH、10mLぐらいの逆Lアンテナでした。AJD完成に2年ぐらいかかりました。

 

今日お話しする前半はアルカミアンテナの出来るまでと簡単に作り方を、後半は少し技術的な話をさせて頂きたいと思いっています。
このアルカミアンテナを作るきっかけは、昨年10月のJAMSAT東京ミーティングが終わって帰り際にJO1LDY黒木さんから「ダンボールとキッチン用アルミホイルを使って子供が作れる、衛星ビーコン受信用アンテナが作れないか」 とリクエストを頂きました。
JO1LDY黒木さんは衛星通信はCWをメイン運用にされています。またJARL東京都支部の役員で青少年科学対策委員長をされていて、子供の科学教育に熱心な方です。

 

予備検討として、ネットでアルミホイルを使ったアンテナが無いか調べました。
WiHiの反射板としての記事は多く出ていましたが、八木アンテナ風の物は無かったようです。もっと丹念に探せば有ったかも知れませんが。
「画面文字読み上げ説明」
435MHzでシミュレーションした3エレメント八木はラジエーターをフォールデットダイポールにして幅は約10mmぐらいにしました。ゲインは9.25dBiです。

 

早速試作しました。

 

「画面文字読み上げ説明」

 

周波数は低いですがSWRが1.2となってびっくり、これでもアンテナ風になっていている!。が第一印象です。

 

「画面文字読み上げ説明」


フォールデットダイポールの左右の端を折り返して短くしました。アルミホイルは非常に簡単に調節できます。436.5MHz付近でSWR1.2になりました。

 

早速使ってみました。
これにケンウッドのTH-D74を接続して、FO-29のビーコンを受信しました。
TH-D74は付属アンテナでも聞こえますが、それよりはかなり良く聞こえます。

 

「画面文字読み上げ説明」

 

改良1です。
シミュレーションで、ラジエーターがフォールデットダイポールでは作りにくいのでダイポールタイプにました。
利得は8.21dBiと低下しました!
作ってSWRは437MHzにSWRを合わせて受信しました。
FO-29、HORYU-4 等435MHz帯の衛星のビーコンを聞きました。
特にHORYU-4 は強く聞こえてきました。途中でパケット信号になったときはS7まで振ってきました。仰角は20度ぐらいだったと思います。
ただ、このアンテナの最大の欠点は2~3mの風でも方向が定まらず、風まかせです。
ただし、3エレメントなのでビームがシャープでないために方向が変わっても結構聞こえます。

 

改良2です。
「画面文字読み上げ説明」

 

改良3です。
「画面文字読み上げ説明」

 

これで3エレメント八木が完成です。

 

材料です。
アルミホイル(25cm)
 A3用板目表紙1枚(0.65)
 貼ってはがせるテープ、セロテープ
 同軸ケーブル SMA-20 RG-147UのSMA-P付きです。

                    (せんごく通商)、

 

「画面文字読み上げ説明」


437MHz3エレメント八木の完成状態です。
FO-29,HORYU-4,CO-66等のビーコンを受信しました。十分な性能が有ります。アンテナ横でも受信する。偏波に敏感。方向は鈍感です。これなら小学生でも作れます。

 

その後、437MHz 3、4、5エレメント、145.9MHz 3エレメントを作りました。
3エレメント、4エレメントはA3用板目表紙1枚で作れのますが、5エレメントはブームの一部に19mm角の木材を使いました。
また、145.9MHz3エレメントはA3用板目表紙3枚と19mm角の木材を使いました。

 

 

437MHz 3、4、5エレメント、145.9MHz 3エレメントの寸法諸元です。私のホームページに出ています。
 

 

「画面文字読み上げ説明」


確実に受信するには待受け受信は非常に有効です。
EL10ぐらいで規定周波数プラス5~10kHzは、実際にやって見ると難しい。
特にハンディ機ではダイヤルツマミが小さいので困難。
後追いまたは先行で受信できない場合が多い。
特に初心者には厳しいです。

 

ここからは少し技術的なお話をしたいと思います。
ただし、私もアンテナの専門家では有りません。いわゆるアマチュアです。出来るだけ作って確認していますが間違いも有ると思いますので、指摘いただけると助かります。
私のホームページは修正だらけです。


「画面文字読み上げ説明」

 

「画面文字読み上げ説明」

 

アルミホイルの1枚の厚さは11μmです。これをボール紙に巻いてアンテナにしたのですが、何回巻けばアンテナとして働くか調べました。
一般的に高周波が金属パイプ(棒)を流れるときは表皮効果があるために表面に近いところを流れてパイプ(棒)の中心付近は流れないといわれています。
ネットで調べた資料によれば435MHzでは表面の振幅を1とすれば0.37になる厚みが4μmとなっています。あとは等比級数的に減衰するようです。
それではパイプの厚みはどのくらいあればよいのでしょうか?

 

 

「画面文字読み上げ説明」

 

表の「共振周波数」はSWR最低点の周波数です。

 

もう一つの方法です。


「画面文字読み上げ説明」


前回とほぼ一致した結果になりました。
435MHzでは40~50μm以上有れば良いようです。
表皮効果による影響は共振周波数以外に利得(ゲイン)が考えられます。


利得(ゲイン)は11μ/30μ/80μmで確認したのですが、11μmが0.5dB程度良い結果でした。これは測定誤差範囲なので、11/30/80μmではその変化は感じられませんでした。従って利得低下は11μmよりもっと薄いところに有るのではないかと思っています。アマチュアの測定では限界かと思います。興味のある人は是非実験して頂きたいと思います。

 

「画面文字読み上げ説明」


2)のMMANAの特性とは何でしょうか?、あまり聞かないと思います。

 

「画面文字読み上げ説明」

 

「画面文字読み上げ説明」

 

「画面文字読み上げ説明」

 

「画面文字読み上げ説明」

 

高さ4m×水平4mで送受アンテナ間 5.6m。
6エレ垂直偏波で送信しました。


送信アンテナ入力-20dBmぐらい。AA-1400アンテナ・アナライザーを使用しました。

受信はスペアナです。

 

430MHz10エレ(ダイヤモンド)と比較測定しました。
測定誤差が有ります。 

 

利得(dBi)は10エレメント(13.1dBi)との比較値です。
3エレメントは7.5~7.8dBi、

4エレメントは9.0~9.5dBi、

5エレメントは11dBi、

6エレメントは13dBi程度。

 

MMANAシミュレーションより0.5~1dBi低くなっています。

ただし6エレメントは同じになっています。測定はラジエーターの位置を一致させて測定しています。

ブームが短いアンテナの利得が低く測定されているように見えます。

なお、ダイポールと比較すると2.15dBi比となりますが、周囲の反射が多くて測定できません。

従ってビームアンテナ(10エレメント八木、13.1dBi)との比較をしています。


  

 

 

「画面文字読み上げ説明」

 

435MHz 4エレメントについてはCQ誌(2017/5月号)に掲載予定。

 

 

「画面文字読み上げ説明」

 

アンテナはできました。メーカーにお願いです。


「画面文字読み上げ説明」


①TH-D74のバンドBの機能と性能のレシーバーが格安(1~2万円)でほしい。

 

このレシーバーが有れば、世界中の小中学生が宇宙からの電波を聞いて宇宙に触れることができます

 

アルミホイルとボール紙で作る
「 アルカミアンテナ 」  


人工衛星の電波を捕まえよう 人工衛星経由で通信しょう


このアンテナの作り方の詳細は下記ホームページに出ています。
https://ja1cpa.jimdo.com 

 
また、送信できる4エレメントについてはCQ誌5月号に掲載予定です。

                                                             6月号に変更になりました。

ご静聴ありがとうございました。

 

2017/3/11