d05. 435MHz PLMアンテナ(Parasitic Lindenblad Modoki Antenna)        de JA1CPA/中村 2014/10/11
    パラシティック・リンデンブラッド・モドキアンテナ   この名称は仮称                               2014/10/12  2014/10/17  
    旧ホームページから移植したので、不具合、文字抜け等が有りましたらご連絡ください。2017/11/11 

 

このアンテナは、結果的にパラシティック・リンデンブラッド・アンテナの垂直ダイポールを水平エレメント位相クロスダイポールに改造したものとなりました。そのために天頂方向の落ち込みは無くなりましたが、水平方向が少し歪んだパターンとなりました。 

 

 このアンテナの3Dパターン

  ↑ パラシティック・リンデンブラッド・アンテナの外観とバターン(水平方向は円形) (AMSATホームページより)

 

   ↑ このアンテナの外観およびパターン            ↑ トップ画面に3Dパターン掲載。

 

QFHアンテナが衛星の受信用として使われています。
しかし、これを作るとなると曲面のエレメント作りが難しそうです。
それを直線で出来ないかと検討していましたが、それとは違うと思われる動作をするアンテナがシミュレーションで出来ました。
通常のクロスダイポールは、インピーダンスが36Ω、水平パターンは8字形で、ゲインは2.15dBiです。
これをインピーダンス変換して50Ωにし、さらに90度位相給電して円偏波にしています。ゲインは2.15dBiのままです。

 

2017/11/12一部追加

今回は、このクロスダイポールにエレメント先端付近の下部に約1/2λのエレメントを約36度傾斜して45度方向に4本(傾斜エレメント)を置い
た物です。

クロスダイポールの先端と傾斜エレメントの先端をほぼ一致させることによりインピーダンスが高くなり、435MHz共振点で50Ωとすることが出来ました。

従って50Ωの同軸ケーブルを直接接続することが出来ます。


特性は、インピーダンスZ=R48.872, -jX0.630、SWR(50)=1.03、Ga=4.16dBiとなりました。
(自由空間)、偏波はまゆ形
地上高6mでは、インピーダンスZ=R49.033. -jX0.497、SWR(50)=1.02、Ga=7.98dBiとなりました。(6mH)
パターンは下記掲載の通り水平方向も確りと出ています。単純なクロスダイポールより2~4dBはアップするのではないかと思います。

1.シミュレーション結果(MMANAによる)


                       435.0MHz Z=R49.033-jX0.497 SWR1.02 Ga7.98dBi 6mH

     外側が水平偏波                          地上高10mH ↑  

 
 天頂のゲインは ↑↑ PLM2より大きく使いやすい
図を拡大した。(2014/10/20)



2.製作例
 材料  エレメント:φ2真ちゅう棒 1m×2本  324.6+(33.4)+324.6+(33.4)+284=1000mm 2本 ( )は切しろ
      ブーム  :φ13塩ビ管×40cm×1本、φ13塩ビ管のキャップ×1個  
      5D-FB  :75cm×1本、N-P(5D-FB用)コネクター×1個、接着剤:2液性セメダイン、アクリルラッカースプレー
      φ5アクリル棒×50cm(もう少し太くてφ10パイプにする)
 
加工
1.クロスダイポール、φ2×142+142=284mm±0.1mmを90度曲げ×2本(両端面は面取り)
2.傾斜エレメント、φ2×324.6mm±0.1mm×4本(両端面は面取り)

 ↑パイプにキャップを接着する     ↑キャップ下面から8mmの所を切断   ↑エレメントをA±0.1mmにする

                     ↑シュベルトップを作って半田付けする(0.1t×40×175mm銅板)

                      シュベルトップの効果は不明。

 ↑芯線、編組を仕上げる(ショートしてないか確認)  ↑融着テープを巻く     ↑エレメントを水平に半田付け
                    エレメント間は18mm

エレメントは全てφ2真鍮棒を使ったが、銅棒ならさらに良い。
同軸ケーブルの芯線、編組共に半田上げし、フック状に曲げて
上からエレメントに半田付けする。
半田付けが終わったら、アクリルラッカースプレー(クリヤー)を吹き
付けて防水、絶縁をする。

キャップはエレメントが入る溝を付けて2液性セメダインで固定する。

 

 


  
↓ ↓ クロスエレメントだけの測定 ↓ ↓
         ↓AA-1000による測定

 ↑この状態で仮測定する(ショートしてないかの確認)   ↑435.0MHz±40MHzで測定

 
 ↑435.0MHzに共振しているがインピーダンスが高い               ↑第2共振点は461.0MHz

 作りました  傾斜エレメントの取り付け
 
   ↑斜め上から見た                      ↑傾斜エレメントの上端がクロスダイポールの高さに!
                     ↓     ↓ 測定値(AA-1000で測定) ↓       ↓

   ↑中心435.0MHzの測定       ↑中心435.0MHzの数値        ↑共振点(430.0MHz)の数値
帯域が広いのでエレメントを正確に作れば、組立寸法は少しラフでも良いし、曲げて調整できるがこの特性は調整して
いない。
塩ビ管の中に5F-FBを通したので傾斜エレメントを支える支柱(φ5)の接着がやや弱い!(改良の余地有り)

3.コメント
このアンテナは、冒頭にも書きましたがQFHアンテナを簡単に、と検討を始めた物です。
1.5λクロスダイポール折り曲げ直線傾斜エレメントとしてやりましたが、共振やインピーダンスが全くとんでもない値で
した。
共振すべくクロスダイポールの水平分部を短くして行ったら、必要な周波数で共振するようなり、傾斜エレメントの垂直
位置とクロスダイポールの水平寸法を合わせ込んだら、このようなアンテナになったのです。
気が付いたらクロスダイポールの水平エレメントと傾斜エレメントが離れていました。(後で気が付いたhihi)
従って、傾斜エレメントは電気的には、何処にも接続されていません。
反射器として動作しているのかも分かりませんが、通常の2eleではインピーダンスはさらに低くなります。
それが、①インピーダンスが高く(36Ωが50Ωに)なっています。また、②偏波も8文字から楕円偏波(水平方向)に近づ
いています。(ただし仰角によっては8文字に近いところも有る)
それに③クロスダイポールより少しゲインが有り、2eleのように天頂方向だけにゲインアップしないで水平方向にアップ
している。

QEX No.11誌(CQham radio 別冊)に傾斜エレメント(表紙)が有った様に思ったので探したら、QEX No.11にJE1KUC局が
衛星受信用アンテナとしていろいろ紹介しています。
この中でパラシティック・リンデンブラッド・アンテナ(ParasiticLindenbladAntenna)は、1/2λ垂直ダイポールの周囲
に傾斜エレメントを配置しています。
これに似ていると思いますが、大きな違いは1/2λ垂直ダイポールに対して、これは1/2λ水平クロスダイポールです。
作り方は、共に直線エレメントなので大差無い感じです。

AMSAT(http://ww2.amsat.org/wordpress/wp-content/uploads/2014/01/70ParaLindy.pdf)に資料が有るとのことで、
早速見ました。また、QEX No.2にも出ているとの事で見ました。 トップ画面に外観と垂直パターン掲載。
このパラシティック・リンデンブラッド・アンテナは、
①垂直面パターンは、通常の垂直ダイポールと同じで、天頂方向のゲインが大きく落ち込んでいます。
   天頂付近はドップラーシフトが激しくて使いにくいが。
②水平面は出ていませんが、円偏波との事です。
③ゲインは、地上高10フィート(3.05m)で、7.47dBiです。
このアンテナとの比較
①天頂方向が大きく違い、このアンテナは落ち込みが無い。
②円偏波の程度は、パラシティック・リンデンブラッド・アンテナが良い。(円偏波に対して楕円偏波)
③ゲインは、ほとんど同じ。
④インピーダンスは、共に50Ωなので50Ω同軸ケーブルが直接接続できる。(ただしQEXではZ=R39.5+jX4.90、SWR=1.3)
⑤左・右偏波は傾斜方向で変わると思いますが、この図の場合はどちらになるか不明。
と云ったところでしょうか。

パラシティック・リンデンブラッド・アンテナを直訳すると、『寄生するナシノキの袋』となりますか?、当局の家の前は梨畑
です。hi
ナシノキは食べる梨とは違うみたいですが、此方は梨の「にっこり」の最盛期です。「にっこり」とは、1つの重さが1kg以上
も有る大きな梨で栃木県特産です。
味は豊水に似ていて、みずみずしく甘いのが特徴です。大きく育つために時間が掛かり収穫は10月です。

結果的に、このアンテナはパラシティック・リンデンブラッド・アンテナの変形で、パラシティック・リンデンブラッド・モドキ・ア
ンテナ(PLMアンテナ)と云うことにしておきましょうか。と云うことで表題(仮称)となりました。

4.考察
☆傾斜エレメントを垂直方向に動かしたときにどの様になるか?
1.現在の位置より下にした場合は、(インピーダンスは高くなる、上にすると低くなる)
 ①自由空間のゲインは増加するが、6mHのゲイン増加は少ない。(2dB程度で現在よの少ない)
 ②水平パターンは8文字に近くなる。
 ③垂直パターンは天頂のゲインが増加する。
 従って、2eleとしての動作に近くなるようで大地反射の影響も少なくなる模様。
2.傾斜エレメントの中心をクロスダイポールと同じ位置にした場合?(インピーダンスはかなり低くなる)
 ①ゲインは大きく増加(6mHで10.17dBi)するが、インピーダンスがかなり低く(12.5Ω)なる。
 ②水平パターンは完全な8文字。
 ③垂直パターンは天頂のゲインは少なくて良い。
3.傾斜エレメントを中心との距離を変えたときは?
 ①距離の大小でインピーダンス、共振周波数は変化するがパターンは変化しない。ゲインはやや減少する。
結論的には、現在の傾斜エレメントの先端がクロスダイポールと同じ位置が最良と思われる。
☆円偏波の軸比改善
 ①現在の軸比は約8dB。(3dB以下を円偏波と云っている)
 ②クロスダイポールのエレメント長を非対象にして、容量性と誘導性にすることによって水平パターンの軸比は約4~5dB
  になって、かなり円偏波になる。
 ③ただしゲインは若干低下する。(-0.5dB程度)
 ④垂直パターンの傾向は変わらない。
これは面白いアンテナですが、立体的で扱いに苦労するので、移動用には向かない感じです!(設置してしまえば問題な
いが!)
 
PLM を使ってみました  2014/10/17

おまけ
←直下プリアンプのスリーブを作って使っています。
コネクターにφ3棒を添えて紙を巻き付けます。
その上から融着テープを少し伸ばしながら巻き、さら
にビニールテープを巻きます。
1~2日放置しφ3棒を抜けば出来上がり。


指向性のまゆ形は南北に向けています。
もう少し直下プリアンプのゲインが有った方が良いみ
たいです。

以下に順次報告します。
以下のデーターは、Sメーターを見ながら5°毎にプロットした。


           ☆HO-68の受信(6mH)               ☆FO-29の受信(6mH)

                              EL50で落ち込みが有りますがPLM2よりは良い感じです


                             2014/10/19↑↑ 天頂付近の落ち込みは無いようです

 

プリアンプをAG-35から川越無線の30dBに交換しました。
AG-35の時はノイズでSメーターは全く振れませんでしたが
川越無線の30dBにしたらノイズでCWモードでS5、SSBモード
でS6です。NF0.2との事ですが了解度に大きな違いは有りま
せん。
2014/10/21

 

 

 

 

 



    2014/10/20 ↑↑ EL35から受信した MEL67 Az101      


☆さらに検討   
以下  2014/10/12  2014/10/13  2014/10/15
 
シミュレーションでは、
1.傾斜エレメントの中心をクロスダイポールと同じ高さにする。
2.クロスダイポールを容量性と誘導性にして位相角を補強して円偏波にする。
3.共振させた時のインピーダンスがR28.046+jX3.825Ωになるので、Qマッチ(50+75Ω)でマッチングさせる。
4.6mHのゲインが8.23dBと少し増加する。

     ↑まだ寸法が未確定

       ↑アマチュアバンド内はSWR1.25以内            ↑外周が水平偏波、ほぼ円偏波
    
                            地上高に対するゲインの変化↑
(目盛りが逆でした。修正済)

製作中   
2014/10/13
1.クロスダイポール部分
 φ2銅棒又は真ちゅう棒、166.0+155.0=321.0mmを90°に曲げる。 2本
2.傾斜エレメント
 φ2銅棒又は真ちゅう棒、315.6mm 4本
3.Qマッチ
 S5C-FB及び5D-FB 各50cm
4.その他、材料
5.クロスダイポールの加工
 
6.Qマッチ(直列式)
①28Ωを50Ωにするには、√28×50=37.4Ωの同軸ケーブルを使う事になる。
これは、75/2=37.5Ωとなり、75Ω同軸ケーブルを2本パラにすれば良い。
S-5C-FBを2本にすると太すぎるのでチョット加工しに、3C-2Vは芯線が細いので使いにくい。
ただし、このパラ方式は帯域は広くなる模様(別途検討)
②28Ωを100Ωにして、それから50Ωするには、√28×100=52.9Ωで50Ω同軸ケーブルが使える。
100Ωを50Ωにするには、√100×50=70.719Ωで75Ω同軸ケーブルが使える。
従って、50Ωと75Ωを直列に接続すれば良い。ただし、帯域は狭くなる模様。



    ↑接続部までの寸法(369mm)の時は460MHz

予備加工として、3Cの435.0MHz1/4λと3Dの435.0MHz1/4λを作って接続し、28Ω(カーボン抵抗器)で測定したら共振
点が366MHz(SWR1.1)となった。(-69MHz、15.86%低下)
次に5Cの465.0MHz3/4λと5Dを465.0MHz3/4λを作って接続し、28Ω(カーボン抵抗器)で測定したら共振点が442MHz
となった。(-23MHz、4.9%低下)と思ったほどに低下しなかった。435.0MHzではSWR1.2
実際のアンテナは、R28.046+jX3.825Ω(シミュレーション値)なので、このままやって見ることにした!
 クロスダイポール単独測定(Qマッチ付き)


SWR最低点が458.437MHzは、ほぼ予定通り
最低SWRが1.7は?(チョットNGかな!)

 

 

 

 

 

 

7.形にして測定しました!が

残念ながらSWR最低点が442MHzから449MHz(SWR1.13)と7MHz高くなってしまいました。
7MHz低くなれば、ピタリと435MHzになったのですが!

Qマッチの作り直しです。帯域がかなり狭いので難しい!。それなら75Ωパラ式をやってみます。

8.Qマッチ(パラ式、並列式) 
2014/10/14

5/4λQマッチ
Mc=√50×28=37.4Ω
Mc=75//2=37.5Ω
S5C-FBを2本パラにした。

 



 
 ↑アンテナ側に25.5Ωのカーボン抵抗(51Ω1/6W,2個パラ)  ↑アンテナ側に27.7Ωのカーボン抵抗(51,100,150Ωパラ)
 カーボン抵抗器を使う場合は、抵抗器のリード線は、芯線側1mm以下、編組側3mm以下

9.完成品データーは?  
2014/10/15

 ほぼシミュレーション通りとなりました。(チョット低め)
                                                    
わり